主催者おすすめ小説~その6~

最近読んだ小説が立て続けにヒットだったので、紹介します。

一冊はほぼタイトルに吊られて買ったのに、2冊に共通するところもあり、また驚き。

●ひそやなか花園(著:角田 光代)

ひそやかな花園

子供のころ、夏休みになると決まってキャンプに集まった男女7人の子供たち。

年齢もバラバラで親戚でも学校の友人でも、習い事が同じわけでもない。

けれども、子供立ちにとってサマーキャンプで過ごす時間は楽園で、大人たちも楽しんでいるようにみえた。

ところが、ある事件を境にサマーキャンプはなくなってしまう。

大人になった、彼ら・彼女らは些細なきっかけから、もう一度7人で集まろうと試みるが、、、。

この小説の凄いところは、“7人の共通点は何?”という読み手が一番興味をもつ部分を、いとも簡単に物語の中盤で明かしてしまいます。

たいていの人は“あぁそんなことか”くらいの感想を抱きながらも、最後までページをめくる手が止まらないストーリー構造。

そして、“あぁそんなことか”と感想を述べる人々を7人がどんな気持ちでみているのか。

 

●砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(著:桜庭 一樹)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

なんだがラノベみたいなタイトル。それでいて、口コミが高評価ばかりで気になって購入しました。

ライトノベルのラの字もない、非常に重い内容でした。

13歳にして父を事故で無くし、スーパーで働く母と引きこもりの兄と三人暮らしのなぎさ。

なぎさが求めるのは、社会を生き抜くために必要なお金という名の実弾。

なぎさのクラスに転校してきた藻屑は、元売れっ子バンドの父を持つ美少女だが虚言癖がある。

なぎさと、藻屑が過ごしたたった一ヵ月の物語。

大人とは、生き残った子供たちのこと。生き残った子供だけが大人になれる。

13歳ではどんなに背伸びをしても、砂糖菓子の弾丸しか撃てないという事実が、胸に突き刺さる一冊でした。

 

偶然同じ時期に手に取ったのに、とても通ずるものがある2つの作品。

子供は、大人が思っている以上に周囲のことを理解している。

それでも、子供はどんな大人びていても、背伸びをしていても、一定の年齢までは親の配下を出ることができない。

自分が10代の時は分かっていたのに、最近忘れつつあったことを思い出させてくれた作品たちでした。

フィーリングでチョイスもいいね★☆★