高校の課題図書100冊の話

3月は卒業式シーズンですね。

SNSで卒業式の写真をアップしている学生たちをみると、自分の学生時代を思い出します。

私が卒業した高校は、卒業までに三年間で100冊の課題図書を読むという伝統がありました。

(これを書くと出身高校がバレるのですが…)

『伊豆の踊子』『老人と海』などのTHE文学から、『ノルウェイの森』『海辺のカフカ』など、急に村上春樹作品がプッシュされたり、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』など当時流行った新書から、『紅一点論 アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』『新解さんの謎』など誰チョイス?と聞きたくなるような本まで。

そして現在、見事なまでのパレートの法則になっています。内容までしっかり覚えている本は全体の20%、作品名は覚えているけど内容があやふやな本が60%、全く記憶から消えているであろう本が20%くらい。(タイトルを聞いて、読んだような読んでないような…な本)

そんな貴重な内容まで頭に残っている本の中から、特に面白かった!と鮮明に覚えている作品をいくつかピックアップしてみました。

●十角館の殺人(著:綾辻 行人)
→全てが十角で作られた不思議な館で、一人ずつ殺されていくミステリー。
十角館の殺人

●ニッポニアニッポン(著:阿部 和重)
→10代の引き込もりネット中毒な男がトキに執着し始めて事件を起こす。(ニッポニアニッポンはトキの学名)
ニッポニアニッポン

●火車(著:宮部 みゆき)
→カード会社のローン地獄と自己破産の怖さが分かる小説。
火車

●OUT (著:桐野 夏生)
→夫を殺しバラバラ死体を遺棄して、事件を隠蔽し続ける主婦グループ。
OUT 桐野夏生

●砂の器 (著:松本 清張)
→蒲田で起きた殺人事件を捜査することで浮かび上がった有名ピアニストの過去。
砂の器

●被差別の食卓 (著:上原 善広)
→被差別部落出身の著者が、世界の部落問題を明るい食レポ形式で紹介。
被差別の食卓

●生きなおす、ことば~書くことのちから横浜寿町から~ (著:大沢 敏郎)
→識字率が圧倒的に高い日本で生きる、字が書けない人々の存在。
生きなおす、ことば 書くことのちから横浜寿町から

 

振り返ると、自分では絶対に手に取らない本や読まないまま社会に出ていたら知りえなかった知識が付いたのは有難かったです。

現在、読書会を主催していていると、課題図書で読んだ本が紹介されると少し嬉しい気持ちになります。

昔は高校のHPで、卒業年度ごとに課題本一覧が過去に遡って閲覧できなのですが、現在はそれができなくなっていて、残念でなりません。

今の高校生たちには、どんな100冊の課題図書が出させているのかも気になります。