主催者おすすめ小説~その4~
最近手に取るビジネス書が、どうも不作続き。
一方で小説は何気なく選んだ作品がグッとくる。
読んでる割合は半々なのに不思議ですね。
読んでいる途中に、なぜか昔読んだ小説を思い出す。
そんなリンクした2冊をご紹介します。
●殺人出産(著:村田 沙耶香)
全て、今とは“生死観”が異なる世界のストーリー4編。
①殺人出産…10人出産する「産み人」になれば、合法的に1人を殺すことが認められた世界。
男性も人工子宮で出産可能。「産み人」と殺される「死に人」どちらも崇められる存在とされる。
②トリプル…カップルではなく、3人組・トリプルで交際をする事がスタンダードになりつつある世界。
トリプルで付き合う10代と、カップルでの交際しか価値観のない親世代の摩擦はまだまだ根深い。
③清潔な結婚…夫婦生活として結婚する相手と、性行為をするパートナーは別物とする価値観が認められた世界。
夫婦で兄弟のように仲良く暮らしていきたい、そんな二人が子供が欲しいと思ったときに考える手段とは。
④余命…自然な「死」が世界から消えて100年は経つ世界。好きなタイミングで自分の人生を終えることができる。
200年生きる人もいれば、10歳で生涯を終える選択をする人も。死に方の演出本が書籍が世間ではよく売れているそうだ。
●きらきらひかる(著:江國 香織 )
見た目は、どこにでもいる幸せな新婚夫婦の笑子と睦月。
ところが、笑子はアルコール依存症で、情緒不安定。
睦月は同性愛者で、大学生の恋人・紺君と付き合っている。
医者である睦月の同僚もまた、同性愛者である。
ところが、何も知らない双方の両親や、笑子の友人は子供をつくることを催促する。
『殺人出産』を読んでいるときに、ふと、随分前に読んだ『きらきらひかる』を思い出しました。
村田 沙耶香さんの描く世界をクレイジーを言う人は多いですが、江國 香織 の名作とも通ずるところはあります。
“これがスタンダード”と思っている価値観は、時代とともにどんどん変わっていきます。
ましてや、“自分はふつう”だと思っていても、他の人からはクレイジーな考え方とされます。
しかしながら、どんな世の中になっても女性は結婚&出産問題からは逃れなさそう~と思ってしまいました。
こういった繋がりに気付くのも読書の醍醐味★☆★