【参加レポ】朽木祥さん講演会『バレエシューズ』から鎌倉ファンタジーまで

2019年5月12日(日)ごきげんな読書会開催後に、銀座の教文館9階ウェンライトホールで開催された講演会に参加をしました。

朽木祥さん講演会“『バレエシューズ』から鎌倉ファンタジーまで~翻訳と創作について語る”

たびたびHPや読書会でも紹介している、ノエル・ストレトフィールド著『バレエシューズ』。

朽木祥さんは、その作品を日本語に翻訳をされた方です。

講演会の内容は、朽木祥さんが幼少期に好きだった児童文学、『バレエシューズ』翻訳の舞台裏や児童文学とは何か?というところまで。

幅広くも、非常にユーモアのある語りで、2時間15分があっと言う間に過ぎていきました。

いくつか印象的だったお話を箇条書きで紹介します。

ーーーー

『バレエシューズ』は世に出た当初、児童文学としては非常に新しい作品だった。

シンデレラストーリーではなく、少女たちが自分の置かれた場所で、周囲の協力と自分の自助努力により成長していく物語だったから。

(朽木さんは“自助努力”というワードを強くお話しされていました。)

とはいえ、児童文学は希望を与えなくてはいけない。

だからこそ、ラストは三姉妹が別々の国で暮らすことを決めたとしても、ハッピーエンド。

ジョージ5世の切手取集の趣味とガムの化石収集の趣味をかけたブリティッシュジョークが交えられている。

英国の歴史や、英国王室に詳しい人が気付く、ユーモアが序盤にそっと織り交ぜられている。

作者自身が三姉妹の次女で、美少女の姉と妹に挟まれ、あまり母親に愛されなかった幼少期があった。

だからこそ、『バレエシューズ』の次女・ペトロヴァには、シンプソン夫妻という協力者を登場させたと推測される。

(大前提として、英国では子供時代は幸せでなくてはならないというベースの価値観がある。)

余談で、出てきた英国の食卓で話題にしてはならないのは、①お金 ②政治 ③出された食事について。

フランスはその逆だ、というのが面白かったです。

朽木さんの学生時代は、児童文学は文学作品として評価されなかった。

挿絵を入れてしまうと、児童書扱いになり、作者が嫌がるほど低く見られていた。

子供の知性を侮ってはいけない。

その時、表現や言葉を100%理解していなくても、その後の人生の様々なタイミングで英知となっていく。

ーーーー

メモを見返しながら、ざっと綴ってみました。

最後の“子供の知性を侮ってはいけない”というフレーズがとても耳に残りました。

子供のころ何かしらで見かけた絵本のイラスト、児童文学で登場したシーンは、大人にある過程でたびたび思い出されるのです。

分かりやすい例でいうと好きな色合いの組み合わせは、子供の時の絵本の影響が大きい気がします。(これは、私の意見ですが…)

朽木さんの話しはユーモアがあるので、言葉がとてもキレイで美しかったです。

また、お話される内容にとても知性と教養を感じ、圧倒されました。

朽木祥さん講演会『バレエシューズ』

写真は、会場で配布されていたチラシです。

児童文学に対する愛がまた深まりました★☆★