【映画感想】SNS 少女たちの10日間
2021年は、度々の緊急事態宣言により、ごきげんな読書会は開店休業状態が続いています。
緊急事態宣言の影響で、レイトショー上映がないのも不満ですが、この楽しみにしていた映画『SNS 少女たちの10日間』に至っては、東京都内で池袋のシネマ・ロサでしか上映されていなかったので、驚きました。
本作品は、チェコのドキュメンタリー映画です。
実際には成人しているが12歳に見える女優三名をオーディションで選出し、10日間12歳の少女を扮したSNS偽名アカウントを運用するよいう内容です。
プロフィールを登録した数分で、次々と男性からのアプローチがあり、合計で2,458人の男性からコンタクトありました。
その殆どは、男性の下半身の猥褻な画像や動画をメッセージで送り付けてきたり、逆にヌード写真を要求したり、ビデオ通話で服を脱ぐようにしつこく迫ったりと散々な内容でした。
合成偽ヌード写真を送ると、それをばら撒くと脅して来る男性もいますが、彼らは自分の下半身露出写真が世の中に逆にばら撒かれるリスクは考えていないのでしょうか???
チェコでは15歳未満に性的関係を目的に成人が接近することが法律で禁じられています。
12歳の少女を演じる女優達は最初に“私、12歳だけど大丈夫?あたなは何歳?”と確認しています。
男性が“年齢なんて気にしない!”とか“そんなにおじいちゃんじゃないよ!”とか言ってるのって、日本の婚活市場で20代女性にばっかりアタックするオジサン達の台詞そのものだな、と思いました。
あと、若い子に“いくつだと思う?”って面倒ください質問するのは、チェコも日本も一緒だということがわかりました。
少女たち猥褻下半身露出画像を送った人に中には、子供キャンプを主催する旅行会社の経営者もいました。
このドキュメンタリー実験中に、スタッフが自分の知り合いだと気づいたのですが、自分の知人が混じっていたら、最悪ですね。
この映画は、医師、カウンセラーや弁護士など、専門分野スタッフが常にサポーターとして現場にいたので、成立した企画だと思います。
性的搾取を目論んだ男性の情報はチェコ警察に共有されたので、漏れなく逮捕されているといいな。
日本でも是非、実験をして欲しいのですが、おそらく2,400人ちょっとでは済まない人数の男性がコンタクトしてくると思います。
日本に女性として生まれると、気づけは若くて性別が女というのは一定の層からプレミアとしてみられるというのを、成長の過程で無意識に感じ取ります。早い子だと小学校中学年位、遅くても中学生になると、いつの間にかその価値を理解します。
そういえば、中学校(女子校)時代のインターネット掲示板の悪い書き込みの事例で先生(女性)が発表した内容が、“私、15歳。△万円でOKよ”で、教室が大爆笑の渦だったことを今でも覚えています。そして、みんな“△万円は安いから、せめて◎万円にして!”とか笑いながら言っていたけれど、それって無意識に10代前半の女の子にはそれだけ特別な価値があるって自覚の裏返しです。
こういった映画を子供が観るとトラウマになるからダメという人もいますが、ちゃんとR15指定されています。
そもそも、実際に社会でこういったことが起きるという事実なので、知っていた方がいいのではないでしょうか。
もっと世間に広がってほしいドキュメンタリー映画作品ですが、とにかく上映している映画館が少なくて悔しいです。
東京都内にお住いの方は是非、池袋のシネマ・ロサへ行ってください◎