【映画感想】朝が来る

今年、一番公開を楽しみにしていた映画『朝が来る』を鑑賞しました。

昨年、辻村深月さんの原作を読み、とても感銘を受け、公開日を本当の楽しみにしていました。

映画 朝が来る

子供に恵まれず、不妊治療もうまくいかない栗原夫妻。

一時は夫婦二人だけで生きていくと決めたものの、養子縁組制度を利用し、息子の朝斗を迎える。

朝斗には、養子縁組をしている事実告知もしたうえで、親子の信頼関係が厚く築いている栗原家。

来年はもう小学校というタイミングで、自称産みの母親から“子供を返して欲しい”という電話がかかってくるのです。

このストリーだけ聞くと、ミステリーのように思えますが、完全なヒューマンドラマです。

養子縁組をするまでの栗原夫妻。朝斗の産みの母親は、なぜ中学生で出産し、子供を手放したのか。

そして、夫婦と、朝斗本人と、その母親の現在が交差します。

どうしても実写映画では2時間強でストーリーを完結させる必要がある為、原作のような細かな心理描写が省かれ、端折り感はありますが、原作の雰囲気はどことなく映画からも感じ取れます。

中学生で子供を出産する役の女優・蒔田彩珠さんは18歳ですが、中学生のシーンではあどけない表情、現在のシーンでは幼さを抱えたまま大人になった女性をとてもうまく演じていました。

この女優さん、横顔がとても美しくて、監督も敢えて横顔のアップシーンを多用している気がいます。

テーマが“養子縁組”のせいか、鑑賞にきている年齢層がとにかく高かったのが印象的でした。

どうしても、日本では産んだ親ではいと愛情が無い、子供は産みの親に育ててもらうのが一番幸せという信仰が強いですが、兼ねてから私はそんなことはないと思っています。

是非、これから親になる可能性が高い、10代、20代に観て欲しいと強く思う作品でした。