主催者おすすめ小説~その9~

読書会を開催するたび思うのですが、読書好きと言いつつ、意外とTHE名作が未読

と、いう事で今更名作読む週間を一人で開催しております。

読んでみると、時代を感じさせなかったり、本当に面白い作品が多く、名作と呼ばれるのに納得します。

そんな中でも印象的だった作品をご紹介!

●悪女について(著:有吉 佐和子)

悪女について

メディアを賑わせていた、若手女性実業家である富小路公子の突然死。

彼女の関係者27人がインタビューに答える形式で物語が進んでいきます。

幼少期の級友、最初の夫とされる人物、実母、そして二人の息子や、彼女が経営するクラブの支配人。

“悪女”、“騙された”と、罵る者、できるだけ関係者と思われたくないと逃避する者がいる。

一方で、“彼女ほど心の美しい女性はいない”と絶賛する者も後を絶ちません。

一体、富小路公子とはどんな人物だったのでしょうか?

本作は、最後まで主人公である富小路公子は登場しません。

したがって、読者の中には、きっと彼女の本気の恋の相手は〇×△だったのだろう。

次男の証言が一番彼女の人生を言い表している。

などと、感想は人によってかなり意見が分かれるところです。

昭和58年に出版されたとは思えないほど、古さを感じない素晴らしい作品です。

 

●わたしを離さないで(著:カズオ・イシグロ)

わたしを離さないで

ベテラン介護人キャシーが、自分の幼少期から育った施設ヘールシャムについて語るストーリー。

芸術の授業への力の異様なこだわりと、毎週キッチリと行われる健康診断。

それを除けば、ごくごく普通の寄宿舎学校に思われます。

ところが、ヘールシャムで育つ子供たちは特別な存在。

彼ら、彼女らは、臓器提供の為だけに科学の力で生み出された、クローン人間でした。

やがて「提供」の通知が届き、彼らはその任務を全うします。

早ければ2回目、続いたとしても4回目の「提供」とともに、人生を終えていく。

自分たちが生まれた目的が分かっていながら、恋愛をしたり、密かに自分の親を探そうとするシーンを考えると、何とも言えない切なさがあります。

はたまた、世界のどこかにヘールシャムのような施設があるのでは…と思えてくるのです。

 

知っているつもりにならないで、改めて名作と呼ばれる作品を読んでみると気づくこともあります。

最近でのヒット漫画や映画など、結構あの名作がベースになっているかも?!と。

しばらくは、今更名作読む週間続けていきます★☆★