主催者おすすめエッセイ~その1~
食欲の秋にとどまらず、主催者は一年中食べることが大好きです。
今回は、読むだけでお腹が空いてくる、“食”にまつわるエッセイを2冊ご紹介。
●残るは食欲 (著:阿川 佐和子 )
雑誌クロワッサンに掲載されていた、エッセイが単行本化された一冊。
「懐かしい」「昔ながらの味」っていつから誉め言葉として、多用されるようになったのかしら?
言われてみればと、ハッとさせられたり。
はたまた、洋菓子屋さんからなぜサバランが消えたのか。
という、サバランを郷愁する気持ちに共感したり。
こんな短い文章の中に、“食べ物”に関する様々な切り口が描かれています。
実は、本著が初めて読む阿川 佐和子さんの作品でした。
その書き味に思わず下を巻き、同時にお腹が空いた次第でございます。
●今日もごちそうさまでした (著:角田 光代)
肉が大好き、鶏肉はもはや魚である。
30歳まで野菜嫌いをはじめ、食べられない食材が多かったが、次々克服さした。
そんな角田 光代さんのエッセイは、ひとつの食材をテーマにした短いエッセイをまとめた一冊。
例えば鶏肉は、骨にリボンを巻けば一躍パーティーの主役。ところが、お弁当の定番おかずと言ったら唐揚げ、という別の顔もある。
前者を“よそゆき鶏”、後者を“ふだん着鶏”と表現する、その書きあらわし。
思わず、なるほど!と思いました。
他にも、最近の野菜は甘すぎるという主張や、世界中でどんなホテルでも朝食バイキングに卵料理を出してくれるのは日本だけ。
など、言われてみればそうかも!という気づきが多く、本当に楽しく読めるエッセイです。
この2冊に共通しているのは、まず表紙のイラストがレトロなタッチでカワイイ。
そして、著者二人にも共通点が。
女子高育ち、経済的に自立していて晩婚、お酒が好き、キノコ類が嫌いだった等々。
ややもすると、自立している女性は強そう、などど印象を持たれがち。
ところが、“食べ物”に関するエッセイを読んでいると、心温まるエピソードの数々から、その人のチャーミングなポイントを多々垣間見ることができます。
食べ物の話題こそ、その人の本当の人柄が出るものね、と強く思われてくれた2冊でした。
なお、どちらも読了後にとてもお腹が空くのでご注意くださいませ!